日本人の「宗教離れ」

日本人の「宗教離れ」という言葉が聞かれるようになりました。

その理由として、日本の宗教学者は、

特に既成宗教では葬式や儀礼以外に内容があまりなく、

人間の精神的なニーズに応えていない「宗教の空洞化」を指摘しました。



現代では、合理性とテクノロジーの進歩が奇跡の可能性を否定し、

すべてのものが経済的な目的を持たなければならなくなっています。

そのため、個人は世界の現状に感じている不安を鎮めることができず、

人々は経済中心の現代世界の不安定感から逃れるための感情的、

神秘的な欲求、つまり「宗教のようなもの」を求めるでしょう。

しかし、既成宗教はそのニーズに合わせることができていません。

◆増える巡礼者

巡礼者が多くなった背景には、

現代社会のもたらす恩恵は、

人間の内面的な疑問や心配、

不安には対処できていないということがあります。

日本の研究者も、四国遍路の動機として、

仏教信仰よりも自己発見、人格の成長、

挑戦のためであるということに注意を促しています。

個人的な経験を通じて、

自由、自己発見、人格的な成長が得られるという、

現代の巡礼者に見られる個人化された見解は、

遍路が「ニューエイジ」思想の一形式だと指摘しています。

◆進む宗教の個人化

現代の巡礼興隆の底には、

個人の自律や私的な探求があります。

既成宗教が衰退し、

宗教の個人化が進んでいる証拠です。

人々は、組織された宗教に帰依することから離れ、

個人化された形式の私的探求へと向かっています。

世界で増加している巡礼者たちは、

巡礼に結びついてきた伝統宗教に

関わり合う必要を全く感じていません。

明らかに過去の伝統と

かけ離れた巡礼の様式が存在し、

注目を集めているのです。

日本の仏教や神道については分かりませんが、

同様に寺や神社が観光地になってしまう可能性があると思います。

現代の日本の宗教のパターンを分析すると、

世界の他の国、例えばイギリスと似ていると思います。

自分で選んだ方法で、今日はヨガ、明日は占い、

あさってはチャンネリング…と自分的な無宗教な宗教、

帰属意識のない宗教を作っている日本人が多いでしょう。

「宗教」は教団に組織されたものから、

現代社会の個人的な精神世界に

変わっていくのではないかと思います。

宗教とは、昔から決まっている現象ではありません。

言葉の定義も現象も、時代によって変わっていきます。

宗教が空洞化している時代には、

不安を鎮めることができない既成宗教の代わりに、

伝統的な民俗宗教をベースにして、

現代のテクノロジーを取り入れた、

ニーズに合わせた宗教が出てくる可能性があると思います。

現代のこうした状況は、特に既成宗教に

新しく大きな課題を突きつけたと言えると思います。

英・ランカスター大教授 イアン・リーダー
リレー講座「現代社会と宗教」(立命館大学主催・読売新聞大阪本社後援)

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