神祇信仰について
日本には古来から神を信じる「神祇信仰」というのがありました。
神には姿がありません。後代に神の存在を視覚に訴えようと、
神像が作られますが、これは仏教の仏像や仏画の影響です。
姿のない神は、どこにいるかも分からない。
そんな神について本居宣長は「古事記伝」でうまく定義しています。
神は「すぐれたる徳のありて、可畏(かしこ)き物」とし、
「すぐれたるとは尊きこと善きこと」、同時に「悪しきもの、
奇(あや)しきもの」も「神だ」と言うんです。
悪い神も入れて幅広くとらえているのです。
宣長にならって日本の神を3つに分けると、
1つは「アニミズム的神」。原始信仰ですが、
自然現象などを神として恐れる場合です。
風や山、水などをあがめるのもそうです。
2つ目は「記紀神話の神」。
古事記や日本書紀に登場する神々で、
さらに高天原(たかまのはら)の「天(あま)つ神」と、
地上界の「国(くに)つ神」の2つに分かれます。
3つ目は「土地の神」。それぞれの土地を守る地主の神です。
三十三間堂本坊妙法院門跡門主 菅原信海
リレー講座「現代社会と宗教」(立命館大学主催・読売新聞大阪本社後援)