いのちが見えなくなった現代

      2018/04/22

歴史上、現代ほど文明が急激に進化している時代はなかったと思います。

しかし、貧富の差は拡大し、

米国の「9・11」をはじめとしたテロや戦争、暴力、自死……。

私は「自殺」という言葉が大嫌いです。

他殺も後を絶たない。

人間関係の亀裂はこれまでになく深い。

心が響き合うような世界とは程遠い現実があります。

今日の日本は、自死者が増加し、信仰が形骸化しています。


毎年3万人を超す人が、苦しみ、誰にも打ち明けられず、

悶々(もんもん)としながら自ら命を絶ちます。

様々な理由が複合的に働いていると思うと、自死を非難できません。

ただ、そうせざるを得なかった事実は確かめなければなりません。

現代は、いのちが見えなくなった時代と言われます。

いのちの尊厳を喪失してしまった。信仰の形骸化も認めざるをえません。

今こそ「いのちとは何か」が大きく問われていると思います。

宗教が現代の諸問題に応えなければ、意味はありません。

提言を行う、実際にかかわっていくことが大事です。

ボランティア活動や運動もそうです。

ボランティア活動の形態は様々ですが、

宗教活動と連動していることは申すまでもないと思います。

運動というのは、現代社会の実相を見つめ、

そこに宗門として問題提起し、課題を共有、

その問題に深く心を寄せる人と語り合う場を広げていくことです。

真宗大谷派は、命の尊厳を脅かすような事象、

例えば靖国問題や臓器移植などに宗派の声明をその都度表明しています。

さらに、現代の科学的合理主義に基づく近代理性は、

完全に行き詰まっていると指摘したい。

地球環境、貧富の格差の問題にしても、

近代理性の下に成り立った文化、

つまり人間中心主義、人間のおごりの文化の延長線上にあります。

親鸞が明らかにした本願念仏の教えは、

人間中心主義を根底から覆すことです。

私は人間の存在の根源を明かす、真宗の仏教を通さなかったら、

さらに現代は行き詰まるだろうと思います。

真宗大谷派前参務 安原晃

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