日々の暮らしに、満足か不満足かの街頭アンケートには、さしずめ宗教じみた勧誘か、いかがわしい物品販売の罠が見えてしまっています。
自らの幸福さ加減を、他人の不幸にしか見い出せない現代人が、拝金主義に走るのも、アイデンティティーを喪失した社会全体の歪んだ構図を曝け出しています。
シラケきった世の中には、成功物語やスター誕生の秘話、離婚問題や、家庭不和の報道に耳を峙てるくらいが関の山かもしれません。
うわべの絵空事を繰り返すほど、退屈してしまった都市生活者に、潤いを与えるとするなら、「現状の破壊」だと嘯いていたのは、あのテロリスト達だけでしょうか。
科学的根拠のある理論的展開というものに慣れてしまった私たちは、日常に「感動」を持ち込みたがりません。なぜなら「戸惑い」や、「怒り」と隣り合わせの精神的状況に「緊張」や「不安」さえ覚えてしまうのを恐れるからです。