第二次とも第三次ともいわれるお笑いブームですね。今のお笑いブームは、「もののあはれ」を重んじる日本文化に通じるところがあって質が高いと思いますよ。本来キモイはずのアンガールズがウケル理由の一つに、妙な二人のさらに妙なズレからくるおかしさを、ショートコントにしているところにある思うのです。観衆に迎合せず、自身のコントを冷静に評価する視座を持っているということです。
一発芸的ギャグに走っているウケナイ芸人との違いは、そこにあると言えます。熱中することはいいことですが、それにのめり込んで、我を忘れてしまうのは、本来の芸、ひいては日本文化の本質に遠いものがあるということです。
自分を客体化すること。つまり、自分をとらえるもう一人の自分を作っておくということです。熱中している自分を見つめるもう一つの目を持っていることは、「感性」に遊ぶ自分を「理性」が見つめ、それを楽しんでいるということです。そこに「もののあわれ」があるといえるのです。