春を告げる獅子舞

私の実家の地区では、毎年お彼岸の頃に獅子舞がやってきます。

そのため、「獅子舞が来ると春になる」という風に子供の頃から思っていました。

今年は3月17日が獅子舞の日でした。

獅子舞の日は朝から地区内の家を順番に回るので、小さい頃は「うちにいつやって来るのかなぁ?」とワクワクしながら、笛や太鼓や鉦の音がどんどん近づいてくるのを待っていたのを覚えています。

ここでは獅子舞のルーツや松阪地区の獅子舞についてご紹介したいと思います。

獅子舞をよくご覧になる方も、まだ近くで見たことがない方も、読んでいただけますと嬉しいです。

 

獅子舞とは

東アジア・東南アジアの伝統芸能で、音楽に合わせて獅子が舞い踊るもので、発祥は1世紀の後漢(中国)、日本には奈良時代に唐から伝来したとされています。

16世紀の初頭、伊勢国で飢饉や疫病除けに獅子頭を作って正月に舞ったものが、現在の獅子舞の最初と考えられており、17世紀には江戸にも伝わり、悪魔祓いや縁起物として定着し、祝い事や祭礼で獅子舞が行われるようになりました。

室町から江戸時代初期にかけて全国に広まりましたが、その理由としては、伊勢大神楽の伊勢派や熱田派が各地を回り悪魔祓いをしたことが挙げられます。

日本の獅子舞は、最も数が多い民族芸能であり、2000年代には約8000もの獅子舞がありました。

その様式は様々で、地域によっても違いがあります。

西日本だと伎楽系、沖縄だと中国系、関東・東北だと風流系といった感じです。

その他に三重県桑名市の伊勢大神楽講社に代表される太神楽系の獅子舞があり、こちらは民族芸能とは違い専従の方が行っています。

太神楽系の獅子舞は、江戸時代に伊勢御師(いせおんし)と結びつき、内宮の御祓大麻も配っていました。

伊勢御師というのは、神宮の下級神職のことで、祈祷の委託、参拝者の宿泊や案内を主な仕事としていましたが、地方に赴き伊勢暦や御祓大麻を配ったり参拝の勧誘も行う、現在の旅行代理店・旅館業・添乗員をまとめたようなものだというと想像しやすいのではないでしょうか。

 

松阪の獅子舞

松阪地区には、市の無形民俗文化財に指定されている獅子舞があります。

曽原獅子舞

松阪市曽原町で行われている獅子舞です。

江戸時代から続いているこちらの獅子舞は、現在「曽原獅子舞保存会」によって受け継がれており、地域に根付いた獅子舞です。

雌の獅子だけで舞われるのが特徴で、毎年元旦に天白神社で獅子舞を奉納しています。

黒野獅子舞

松阪市嬉野黒野町の天玉神社で元旦に行われている獅子舞です。

元日の初日の出と共に始まり、神社での奉納舞の後は各家を回るため、すべて終わるのは夕方ごろということです。

こちらの獅子舞も、地域の人々によって保存会が作られ、伝統が守り受け継がれています。

 

獅子舞の日

お供え

初穂料とお米

 

獅子舞の日、玄関には必ずお米と初穂料(というのでしょうか・・・?)が用意されています。

金額は各家庭によって違いますが、結婚や子供の誕生、厄年など、特別なことがある年は少しはずんだりします。

家にやってきた獅子舞の方には、まずこちらをお渡しします。

いただくもの

伊勢大神楽のお札

 

獅子舞の方からいただくお札は3種類あります。

毎年新しいものと取り替えます。

獅子舞

お札をいただいた後に、獅子舞が始まります。

昨日舞っていただいた中のほんの一部ですが、雰囲気が伝わったのではないでしょうか。

獅子舞

そして最後は・・・

家族全員が頭を噛んでもらいます。

これで今年1年も健やかに過ごせるはず!!

 

獅子舞を見るのも楽しいのですが、毎年同じ方が来てくださるので、お互いの1年の無事を確認したり、子供たちの成長を見ていただいたりと、遠くに住んでいる知人に会うような感じです。

今住んでいるところには獅子舞が回っては来ないので、近くで見て触れて親しむことが出来ないのがとても残念です。

昔ながらの行事や風習を体験することが少なくなっている現在、年中行事として獅子舞に触れることが出来るのはとても貴重な経験なのではないでしょうか。

 

 

 

 

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