仏教の大事な徳のひとつは、正語です。
正語というのは、
正しい言葉を使えということですけれども、
いちばん大事なのは、うそを言うな、
二枚舌を使うなということです。
ぼくらが子供のとき、よく母親に、
「うそをつくと閻魔さんに舌を抜かれるよ」
と言われたものです。
子供のときにふだんからそういうことを聞かされて、
うそを言ったらいけないんだな、
と自然に思うようになる。
それが正語、正しい言葉、
うそをつかないということ。
人を悲しませないために、
どうしてもうそを言わなくちゃならない。
あるいは人を喜ばすためにうそをつくことは、
時には許されるけれども、
人をだますためにうそをいう。
これは許されない。
梅原猛の授業 仏教