仏壇にどんなお花を飾ればいいんだろう
飾る時のルールは?
ちゃんと手入れできるか心配
このような疑問や不安を解消します。
仏壇にお供えするお花は「仏花」と呼ばれています。初めて仏花を飾る時は心配や不安がつきものです。
この記事では、そんな仏壇に供えるお花の基本知識について、創業明治39年の仏壇・仏具専門店が丁寧に解説いたします。
「よく考えず選んで手入れ方法が分からない!」ということにならないよう、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読むことで得られる知識は以下の通りです。
- なぜ仏壇にお花を供えるのか
- どんなお花を供えるべきなのか
- お花を選ぶ時のポイントは何か
- お花の飾り方や手入れ方法にルールはあるのか
なぜ仏壇にお花を供えるの?
仏壇にお花を供える理由には様々な見方がありますが、ここでは「極楽浄土の美しさを表現するため」「慈悲を生じさせ、怒りを消滅させるため」という理由についてお話します。
極楽浄土の美しさを表現するため
仏壇に供えるお花は左右対で飾るのが基本です。
これは、美しい極楽浄土を表現するという意味があります。
阿弥陀経では極楽に蓮の花が咲いていると説かれており、また、左右対称を円として捉え輪廻という仏教の教えに繋げることができるためです。
慈悲を生じさせ、怒りを消滅させるため
仏壇に飾られている美しいお花を見て、不快な気持ちになる人はいません。
なぜならお花には慈悲の心を持たせ、怒りや悲しみなどマイナスな気持ちを払拭してくれる力があるからです。
これらはお花だけの力ではなく、仏様がお花を通じて私たちに働きかけてくれた力だと言われています。
仏壇に飾るお花の種類について
仏花には様々な種類があるため、「どの種類を選べばいいか分からない」と悩む方は少なくありません。
仏花には様々な種類があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。それぞれの特性を知り、自分のライフスタイルに合わせたお花を選ぶことが大切です。
生花
生花は仏壇にお供えする代表的存在とも言えるお花です。本物ならではの瑞々しさ、香りを楽しめます。
メリット
生花のメリットはお花から生命の尊さを感じられる点です。水を吸い咲ききったのち、枯れていく姿に命の儚さを知ることでしょう。
また、季節や故人の好みに応じて気軽にお花を変更できるため、変化を楽しむことができます。
デメリット
生花のデメリットはお花の手入れや水の交換など、手間がかかることです。忙しい時期や、家をあけることになった際にも注意が必要となります。
他にも、夏場や湿気が多い時期はお花が傷みやすく、コストがかかってしまうと感じる方も多いです。
相場
どこで購入するかによっても異なりますが、生花の相場は花屋なら一束1000円前後、スーパーなら一束500~800円が相場です。
造花
造花はポリエステルや布などの素材から作られたお花です。100円均一やホームセンターなどでも購入でき、その手軽さが人気です。
メリット
造花のメリットは枯れる心配をしなくてもいいことです。当然水替えの必要もありません。
また、比較的安価で販売されているため、気軽に購入できます。綺麗な造花を見つける度に買い足して、少しずつ増やしてあげることも可能です。
デメリット
造花のデメリットは、やはり生花に比べるとフェイク感が出てしまうことです。一見本物と見間違うほど精巧な造花でも、近くで見るとやはり分かってしまうでしょう。
あとは、造花は非常に軽いため、飛ばされたり倒れたりしやすい点にも注意が必要です。
相場
精巧に作られているものや仏花用の造花を購入した場合、一対1000~3000円ほどが相場です。
プリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーは、生花を特殊技術で凍らせて作られたお花です。生花のような瑞々しさを感じることができます。
メリット
プリザーブドフラワーのメリットは、生花の美しさが長期間保たれることです。香りはありませんが、花びらや葉の瑞々しさが楽しめます。
定期的に取り替えたり、水替えをしたりする必要もないので、忙しい人や忘れっぽい人にもおすすめです。
デメリット
プリザーブドフラワーのデメリットは、2~3年で劣化してしまう点です。
また、湿気やホコリに弱いため、湿度管理や埃払いなどのメンテナンスが必要となります。
相場
お花のボリュームなどによっても前後しますが、プリザーブドフラワーの相場は一対8000~10000円程度です。
常花(じょうか)
アルミや真鍮などの金属に金メッキを施した常花は、仏具の一種です。蓮の花がモチーフになっており、常に変わらず咲く花という意味があります。
メリット
丈夫で手入れが楽なところが常花のメリットです。傷みや破損の心配が少ないため、お掃除も難しくありません。
金属でできているため花びらが落ちる心配もなく、常に仏壇を美しく保つことができます。
デメリット
常花には、植物の生命力を感じることができないというデメリットがあります。
また、浄土真宗など、宗派によっては常花を使うことができません。
相場
常花は、素材・花の本数により値段が変わります。
仮に三本とした場合の相場は、アルミ製の場合一対4000円程度、真鍮製の場合は一対8000円程度です。
仏壇に飾るお花の選びかた
仏花には「飾ってはいけない」と明確に定められているお花はありません。しかし、適す・適さないとされるお花は存在するので、しっかり押さえておきましょう。
仏花にふさわしいお花
お花の色は、四十九日までは白、黄、紫3色、四十九日を過ぎてからは白、黄、紫、ピンク、赤の5色にするのが良いとされています。
また、お花の本数は一束につき3~7本の奇数にしましょう。
仏花に適さないお花
攻撃的で殺生を連想させるトゲ・毒のある花、仏壇周辺の雰囲気を壊す香りの強い花、周囲に絡むツル植物などです。
仏花の飾り方とお手入れ方法
最後に、仏壇にお花を供える際の飾り方とお手入れ方法を紹介します。正しいお手入れ方法を知ることで手間や失敗を減らせるので、ぜひ覚えておいてください。
生花を生ける前の準備
仏壇にお花を飾る際は、「花立」という仏具が必要になるため、まだ用意していない場合は先に用意しましょう。
その後、生花を購入したら「水切り」を行います。
水切りとは、茎を水中で1~2センチほど斜めに切ることです。水中で行うことで切り口の乾燥を防ぎ、お花を長持ちさせる効果があります。
命日や法要の日はいつもより華やかに
特別な日には、いつもよりも一回り大きなお花でボリュームを出しましょう。
普段は造花を使用しているという場合も、命日や法要の日はいつもとは違うお花で仏壇を飾ることをおすすめします。
華やかな花束を作る際のコツは、大ぶりなお花の中に小ぶりなお花を散らすことです。お花に自信がない場合は花屋さんで予算と雰囲気を相談してみましょう。
毎月お花を取り替える日を決めよう
生花の場合、どんなに長持ちしても1ヶ月ほどです。
「枯れてから取り換えよう」と思うと、時には忘れてしまうこともあるため、毎月取り替える日を決めておきましょう。
忘れるのが心配な人や時間がない人は、毎月決まった日に仏花を届けてくれるネットサービスを利用するのもいいかもしれません。
夏場の水換えを楽にする工夫
暑い夏はお花の水も早くなくなってしまいます。生花の場合、夏場は蒸発することを考慮して、茎から5センチを目安に水を入れましょう。
この他にも夏場だけ造花に切り替えるなど、季節に応じた工夫をしてください。
まとめ
仏壇にお供えするお花は私たちに慈悲を生じさせてくれるだけでなく、極楽浄土を表現するために存在します。
お花には種類がありますが、それぞれが持つ特徴をよく知り選ぶことが大切です。
しかしお花の中には仏花として飾るのに適さないお花もあるので、注意してください。
また、飾り方やお手入れ方法を工夫するだけでお花を長持ちさせることができるので、ぜひこれを機にお花に関する知識を増やしてみてもいいでしょう。
ぜひこの記事を参考に、美しいお花を選んで下さい。