聖徳太子の「和の精神」
「和をもって貴しとす」(十七条憲法第一条)は、
やみくもな和合協調を勧めておられるのでなく、
一定の正しい基準に照らして
コントロールされる必要があると考えられています。
和合協調だけですべての人々が納得するのは
困難な状況が起きてきます。
和合を協調するには、
皆がともに目標にできる一定の法則、
共通の価値を見いだす必要があります。
そうでなければ皆のための正しい和は保てず、
それぞれが勝手な都合の良い和合を成立させ、
摩擦を引き起こし、やがて紛争になりかねません。
近年はイデオロギーの対立、
各民族間の不信から来るナショナリズムによる紛争、
宗教同士の価値観の違いから来る問題が絶えませんが、
それぞれが掲げる目標や価値観で和合を求めるところに問題があるのでしょう。
聖徳宗管長、法隆寺住職 大野玄妙
リレー講座「現代社会と宗教」(立命館大学主催・読売新聞大阪本社後援)