こんにちは。野呂です。
茶道や華道と並んで「香道」という言葉があるように、お香はとても奥が深くおもしろいものです。
そんなお香について少しでも親しんでいただきたいと思い、今回はお香についてまとめてみました。
なぜお香を炊くの?
お香を焚くという行為は仏教の作法の1つですが、そもそもお香を焚くという行為にどのような意味があるのでしょう。
一つはその香りを仏様やご先祖様に楽しんでいただく「お供え」の 意味があります。
ロウソク、お花、ご飯、お水と合わせて五供と言います。
もう一つは拝む人自らを清めるためのものでもあります。
私たちは日々様々な生活を送っているため仏様やご先祖様にお祈りする前に心身を清浄にするという意味があります。
お香の原料
当たり前ですがお香の香りはその原料によって決まります。
よく使われるのは白檀、沈香、伽羅といった「香木」と呼ばれるいい香りのする木です。
これら香木をベースに様々な材料を調合してお線香は出来上がります。
その材料や分量については各メーカーのトップシークレットとなっていて、ある線香メーカーの担当者の話によると社内でもレシピを知っている者は少数しかいないとか。
お香の効果
お香の効果はあの有名な一休さんこと一休禅師が「香の十徳」という形で香が及ぼす肉体的・精神的な効用をまとめています。
感格鬼神
【読み】感は鬼神に格(いた)る。【意味】感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる。
清淨心身
【読み】心身を清浄にす。【意味】心身を清く浄化する。
能除汚穢
【読み】よく汚穢(おわい)を除く。【意味】穢(けが)れをとりのぞく。
能覺睡眠
【読み】よく睡眠を覚ます。【意味】眠気を覚ます。
静中成友
【読み】静中に友と成る。【意味】孤独感を拭う。
塵裏偸閑
【読み】塵裏に閑(ひま) をぬすむ。【意味】忙しいときも和ませる。
多而不厭
【読み】多くして厭(いと)わず。【意味】多くあっても邪魔にならない。
寡而為足
【読み】少なくて足れりと為す。【意味】少なくても十分香りを放つ。
久蔵不朽
【読み】久しく蔵(たくわ)えて朽ちず。【意味】長い間保存しても朽ちない。
常用無障
【読み】常に用いて障(さわり)無し。【意味】常用しても無害。
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お香の種類
お香には抹香と焼香、線香とがあります。
焼香とはお焼香の時に用いるような小さな粒状の物を言います。
抹香は焼香をさらに細かくしたものです。
抹香や焼香は扱いが難しいのと、線香に比べて高価な物が多いため、普段使いには線香がよく使われています。
お香の焚き方
お香の焚き方はお香のタイプによって異なります。
線香の場合
まず線香の場合ですが仏前で焚く場合は灰を入れた香炉を使います。
そこにローソクやマッチで火をつけた線香を立ててるのですが、浄土真宗の場合は線香を灰の上に寝かせます。
灰に刺さっている部分は燃え残りますがそのままにしておいて問題ありません。
気になるようであれば専用の灰ならしがありますのでそちらをご利用ください。
また、線香をフレグランスとして使用する場合は陶器や金属でできた専用の線香立てがありますのでそちらに立てて焚きます。
円錐型の場合
円錐型のお香は陶器などの燃えないお皿の上に乗せて焚きます。
円錐型のお香は小さいので火をつける時に火傷しないようにご注意ください。
チャッカマンなどお香を置いたまま点火できる道具があると便利です。
抹香・焼香の場合
灰の入った香炉を用意します。まず火種として使う抹香を灰の上に薄く引きます。
その際に先に板などで5mm程度の溝を作っておくとよいでしょう。
左右どちらかで結構ですが端の部分に少しだけ多く抹香を盛っておきます。ここが点火位置となります。
平らな抹香の上に重ねるようにして焼香を置いていきます。
点火にはお線香を使います。
火をつけた線香を盛った抹香の上にそっと置いてから、別の線香でちょんちょんと位置を直して火をつけます。
煙が立ち上り始めたら点火成功です。
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お線香をあげるときのマナー
フレグランスとしてお香を焚く場合は特に作法はありませんが、仏壇やお墓にお供えする場合には多少の作法があります。
知っておくと公の場でも慌てずにお香をあげることができます。
お線香をつけるとき
先にマッチやライターでローソクに火を灯し、 そこから線香に火をつけます。
お線香の本数
四十九日を終えるまではお線香の煙は道しるべの役割をしますので、必ず1本とします。
2本以上だと道が別れて迷ってしまうためです。
四十九日以降は宗派によって異なり、
- 天台宗・・・3本
- 真言宗・・・3本
- 浄土宗・・・2本
- 浄土真宗・・・香炉の幅に合わせて折って灰の上に寝かせます
- 臨済宗・・・1本
- 曹洞宗・・・1本
- 日蓮宗・・・1本
とされています。
ただし、地域によっても異なるようなのであまり気にしすぎないほうが良いかもしれません。
お線香を消すとき
燃え尽きるまで消す必要はありません。
また、先にお祈りした方がいる場合、追加で焚く必要はありません。
線香が倒れて火が移らないように注意しましょう。
日本とお香の歴史
日本でのお香に関する最も古い記録は『日本書紀』の中にあります。
それによると、595年に淡路島に香木が漂着したそうです。
人々は ただの流木かと思って、他の木と一緒に燃やしたところあまりにもよい 香りがするので騒然となり、朝廷に献上したそうです。
それを聖徳太子が鑑定し「沈水」 であることが判明したということです。
「沈水」とは沈香の古い言い方ですね。東南アジアの方から流れ着いたのでしょうか。
またお線香を作る技術は江戸時代に中国から長崎に伝えられました。
それまでは 抹香を使っていたので、 扱いやすい線香は瞬く間に全国に広がったとされます。