和室の装飾としてお馴染みの欄間。ただの飾りではなく通風や調光、換気を目的とした機能的な役割を果たしています。実はお仏壇にも欄間が取り付けられているものが多く、住宅のものと同様に装飾と機能の両方の役割を兼ね備えています。
欄間とは
欄間(らんま)は部屋と部屋(又は廊下、縁側)の境目に設けられた透かし彫り等の彫刻を施した板のことです。換気・採光を目的とした機能的な建具ですが、装飾の役割も果たします。
欄間の歴史
古くは奈良時代の寺社建築において採光と換気を確保するために用いられたとされています。後に貴族や豪族などの特権階級の住宅にも取り入れられ、江戸時代には一般庶民の住宅にも用いられるようになりました。
仏壇と欄間
お仏壇は小さな寺院とも言われますが、それはお仏壇がお寺の本堂の須弥壇(しゅみだん)を小型化したものであるためです。ですので、ほとんどの寺院の本堂には欄間が設けられているのと同様に、お仏壇にも欄間が備わっています。
お仏壇に設けられる欄間は、鳳凰や龍の彫刻を施した豪華な欄間から、侘び寂びを感じるシンプルな幾何学模様の欄間までその種類は様々です。
欄間の種類
お仏壇に採用されている代表的な欄間の種類をご紹介いたします。
筬欄間
木の棒が縦に並んだ欄間を筬欄間(おさらんま)と呼びます。「筬(おさ)」とは織り機の部品の一つで、細い竹製の棒を平行に並べてあるものを指します。それに見た目が似ているためためこの名前が付けられました。
彫刻欄間
彫刻が施された欄間を彫刻欄間と呼びます。鳳凰や龍、植物など、そのバリエーションは様々です。制作には高度な技術が求められるため手彫りの場合は価格も上がりますが、最近では機械彫りの技術が高まり、低価格で制作できるようになりました。
透かし彫り欄間
無垢板の面に対し、文様を垂直に切り抜いた欄間を透かし彫り欄間と呼びます。彫刻欄間と同様に文様には多くのバリエーションが存在します。
組子欄間
組子(くみこ)の技術を用いて作られた欄間を組子欄間と呼びます。「組子」とは、菱型や七宝、紗綾形などの伝統文様を高い精度で組み上げる伝統木工技術です。組子は欄間だけでなく、障子などでもよく目にする装飾です。
いかがでしたでしょうか。
お仏壇に手を合わせる時は、欄間にも少し注目してみてください。