天台宗のご本尊

日本における天台宗は、806年に天台法華教として認められたのが始まりです。

最澄が天台宗を開いた頃は、都が平城京から平安京に遷ったばかりで、南都六宗と呼ばれる今までの奈良仏教の教えや僧侶との関係を断ち、新たな仏教が求められていました。

奈良の僧侶たちのように、政治に介入せず距離を置いていた最澄ですが、桓武天皇の庇護も得たことにより、平安仏教の第一人者となりました。

天台宗の大本山である比叡山延暦寺は最澄が創建したお寺です。

ここからは浄土宗の宗祖法然、浄土真宗の宗祖親鸞、臨済宗の宗祖栄西、曹洞宗の宗祖道元、日蓮宗の宗祖日蓮といった、鎌倉新仏教を興した僧侶のほかに、多数の優秀な僧侶を輩出しました。

また、皇室や公家からの信仰も厚かったため、多くの門跡寺院も建てられています。

門跡寺院とは、皇室や摂関家の子弟が入寺する寺院で、格の高いお寺です。

比叡山延暦寺

比叡山延暦寺東塔と阿弥陀堂

 

ご本尊

天台宗では特定のご本尊はなく、お寺によっておまつりしている仏様が違います。

釈迦牟尼仏をご本尊としてる寺院が多いですが、阿弥陀如来、薬師如来など様々です。

釈迦牟尼仏

お釈迦様のことで、釈迦如来・釈尊とも言います。

たくさんの仏さまの中で唯一実在した仏さまで、仏教の創始者でもあります。

お釈迦さまは、現在のネパールで釈迦族の王子として誕生しましたが、19歳で出家、35歳の時に尼連禅河のほとりの菩提樹の下に端座して悟りを開き、80歳で入滅するまで多くの人を導かれました。

平泉の中尊寺などでご本尊としてまつられています。

 

釈迦如来

釈迦牟尼仏

 

阿弥陀如来

阿弥陀如来は、西方極楽浄土の教主です。

インドの言葉で「阿弥陀」とは「限りない命(無量寿)、はかりしれない光明(無量光)」の意味で、「如来」とは「真理の世界から救うために来てくださる」という意味があります。

浄土宗・浄土真宗のご本尊でもあります。

天台宗では門跡寺院の曼殊院のご本尊です。

阿弥陀如来坐像

阿弥陀如来坐像

 

薬師如来

正式名を薬師瑠璃光如来といいます。

『薬師』は医師の意味であり、様々な病気を治療し人々を病苦から救ってくださる仏さまです。

大本山の延暦寺、三千院、徳川将軍家の菩提寺でもある東京上野の寛永寺のご本尊です。

さいごに

宗派の名前だけ聞くと難しく、身近でないように思ったりもしますが、天台宗には観光地としても親しまれている有名な寺院が多くあります。

お出かけになられた際には、お寺の由緒や、ご本尊にどのような仏様をおまつりしているのか、今までより少し興味をもってみられるのも、仏教に親しむ入り口となるのではないでしょうか。

 

 

 

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