すべては移り変わる

元来、ものには決まった姿はありません。すべては移り変わる。これを無常といいます。雪は白く見えるが、いつまでも白くはない。解けて水になって流れ、どこかで木の葉になるかもしれません。循環しているのです。それを仏教では縁起と呼びます。縁によって世の中が動くと考えるのです。

 西洋の神は絶対の神です。神は天にあって、人間はその下にいると考えます。これに対し仏教では阿弥陀如来も釈迦如来も元は人間、皆凡夫でありました。世の中を良くしようと発心をし、修行をし、さとりを開いて仏になる。そして人々を救うために人間に帰ってくるのです。

 仏とは何か。それは自分のことをすべて忘れ、人々のために身も心も尽くしきる慈悲のことです。慈悲のはたらきがないとき、それを持った人に導いてもらい、自分も慈悲の本体になろうとする。これが菩薩です。自分も成り、人も救っていこうというものです。
(小林隆彰・延暦寺学問所長)
リレー講座「現代社会と宗教」(立命館大学主催・読売新聞大阪本社後援)

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