浄土真宗東本願寺派の仏壇の飾り方

浄土真宗は金色の仏壇を選ばないといけないらしいけど本当?

浄土真宗東本願寺派の仏壇はどう飾り付けすればいいの?

仏具が多くて難しそうだけど全部揃えないと行けないの?

このような疑問にお答えします。

家系の宗派が浄土真宗東本願寺派で承継者として仏壇を受け入れる方、あるいは浄土真宗東本願寺派の門徒となりこれから一式をそろえる必要がある方は、仏壇の正式な選び方を知りたいと思われるのではないでしょうか。

浄土真宗は「真宗十派」と称される10の宗派に分かれ、真宗教団連合を形成しています。浄土真宗東本願寺派とは、真宗大谷派(通称「お東さん」)とも呼ばれ、特に有力と言われている宗派のひとつです。10の宗派に根本的な教えの差異はありませんが、仏壇仕様は細かい点で違いがあります。

浄土真宗そのものが、他の宗派にはない決まりごとが多く大変といわれていますが、自身の宗派が浄土真宗東本願寺派であるなら、基本的な部分は把握しておきたいものです。

そこでこの記事では、浄土真宗東本願寺派の仏壇の選び方はもちろん、飾り方や仏具の配置まで、以下の項目にわけて詳しく解説していきます。

この記事の内容
  • 浄土真宗東本願寺派の仏壇の選び方
  • 浄土真宗東本願寺派の本尊・脇掛
  • 浄土真宗東本願寺派で用いられる仏具の名称と意味
  • 仏具の飾り方
  • お仏壇の置き方

1906年(明治39年)創業の仏壇・仏具専門店「ぶつえいどう」がご案内します。

ぜひ最後までご覧ください。

浄土真宗東本願寺派の仏壇の選び方

浄土真宗の仏壇は、阿弥陀如来がおられる極楽浄土を再現するために、きらびやかに装飾されているのが特徴です。

浄土真宗は金仏壇を基本としていますが、近年は唐木仏壇やモダン仏壇を使われる方も増えています。ただし、浄土真宗東本願寺派の方が金仏壇以外の仏壇を購入する際には、菩提寺に相談してみることをおすすめします。

デザイン

仏壇には、大きく分けて3つのデザインがあります。それぞれの特徴について紹介します。

モダン仏壇

近年人気を集めているモダン仏壇は、現代風仏壇もしくは家具調仏壇とも呼ばれる、フローリングなどの洋室やリビングにピッタリな仏壇です。和室や床の間がないマンションにも置きやすいので、仏壇を身近に置きたいけれどインテリアとの調和が気になる方におすすめです。

金仏壇

金仏壇は、外側の黒の漆と内側に施された金箔のコントラストが美しい、寺院のような荘厳さを持った日本の伝統工芸品です。宗派によって内部の形が異なり、浄土真宗東本願寺派の仏壇の特徴は、二重瓦屋根と黒漆塗りの柱です。

唐木仏壇

大谷派仏壇
大谷派仏壇

唐木仏壇は、黒檀・紫檀・屋久杉・欅・桑などの銘木を使用し、江戸時代に培われた工芸技術を活かしてつくられた伝統的様式の仏壇です。繊細な彫刻や透かし彫りが施された気品あふれるデザインは、時代を超えて受け継がれる、仏壇本来の姿ともいわれています。

サイズ

仏壇の3つのデザインには、主に2つのサイズがあります。お部屋の広さやお参りの頻度など、それぞれのライフスタイルにあわせて選びましょう。

上置仏壇(ミニ仏壇)

上置仏壇は、高さが36cm~90cmくらい、幅は30cm~70cmくらいの、他の家具の上に置くこともできる、置き場所の自由度が高い仏壇です。コンパクトで省スペースなので、マンションやワンルームで購入を検討中の方におすすめです。

床置仏壇

床置仏壇は、高さが106cm~173cmくらいの、仏間や床の間などに置かれている伝統的な形式の仏壇です。もちろん、家具調のモダンなデザインもありますので、洋間に置くことも可能です。線香やろうそくなどの収納スペースがあり、座ってゆっくりとお参りできます。

浄土真宗東本願寺派の本尊・脇掛

阿弥陀如来立像
阿弥陀如来

浄土真宗のご本尊は、阿弥陀如来です。浄土真宗東本願寺派では阿弥陀如来の背後に頭光がついている東立弥陀となり、後光48本の中で上にのびるものが6本のご本尊を、仏像ではなく仏画でお祀りします。

ご本尊の掛軸は、基本的に本山からお迎えします。しかし、家庭の事情などにより、ご本尊を本山からお迎えできない場合は仏具店での購入も可能です。仏具店には仏画以外に、木造の仏像もあります。

その際、同じ浄土真宗の本願寺派(通称「お西さん」)は後光の上にのびるものが8本になるため、間違えないように注意が必要です。また、仏具店で購入する場合は、事前に菩提寺に確認することもおすすめします。

真宗大谷派脇侍
九字名号・十字名号

脇掛は、向かって左側に九文字名号(南無不可思議光如来)の掛軸を、右側には十文字名号(帰命尽十方無碍光如来)の掛軸をお掛けします。

浄土真宗東本願寺派の本尊と脇掛には、3つのタイプがありますので、仏壇にあわせてお選びください。

木造タイプ

阿弥陀如来立像
白木の阿弥陀如来像

木に東立弥陀を彫って仕上げた仏像です。白木のままの木像が多いのですが、金箔を施したものもあります。柘植や白檀など、高級資材を用いた仏像は高価になりますが、桧木で作られた仏像にはお手頃な価格帯もあります。

掛軸タイプ

阿弥陀如来立像
阿弥陀如来立像

東立弥陀の姿を絵に描き、掛軸に仕立てたものです。仏壇に掛軸をかけるフックがある場合はフックに、ない場合は仏壇内に掛軸立てを設け、吊り下げてお祀りします。

スタンドタイプ

阿弥陀如来絵像
阿弥陀如来絵像

掛軸本体に木材などを使用した、自立タイプの掛軸です。材質は木材以外に、クリスタル・真鍮・アクリル板など、予算とお好みにあわせて選択可能です。

浄土真宗東本願寺派で用いられる仏具の名称と意味

仏壇に供えられる仏具は、他の宗派間はもちろん、浄土真宗10派の中でも違いがあります。ここからは、浄土真宗東本願寺派が推奨する、最低限そろえたほうが良いとされる仏具とできれば用意したい仏具を紹介します。

最低限必要な仏具

過去帳

浄土真宗では位牌を用いらないため、故人の名前を記すために過去帳(かこちょう)が必要になります。

具足

三具足

具足(ぐそく)とは、仏教で故人を供養するために必要なアイテムを総称した言葉で、3つなら3具足、5つなら5具足と表現されます。浄土真宗東本願寺派では、香炉・花立・ろうそく立ての3具足を用意します。

おりん

おりんは美しい音を響かせることで、人々の邪念を払い、供養や祈りを極楽浄土に届けるという役割があります。浄土真宗東本願寺派のおりんは、四角型のリン台に金襴輪(きんらんわ)という輪を置き、その上に乗せます。

八角供花

八角供花(はっかくくげ)は、お盆・法事・彼岸の時などに、お供え物を乗せるための仏具です。本願寺派(通称「お西さん」)では六角となっているため、間違えないようにしましょう。

仏飯器

仏飯器(ぶっぱんき)は、仏壇にご飯をお供えする際に使用します。浄土真宗東本願寺派では金仏具を基本とし、鶴と亀がデザインされた仏具が使われます。また、ご飯は蓮の実をイメージした円筒形に盛り付けるため、盛糟(もっそう)という専用の仏具も必要です。

華鋲

華鋲(けびょう)は、浄土真宗東本願寺派用の水入です。浄土真宗では、華鋲以外の器に水やお茶を入れてお供えすることはしません。華鋲に水を入れ、水が腐らないように樒(しきみ)をさし、お供えします。

できれば用意したい仏具

打敷

打敷(うちしき)は、お盆・法事・彼岸の時などに、3具足の下に敷くための三角形の布です。

透かし香炉

透かし香炉とは、陶磁器に透かし模様を施したデザインの香炉を指します。浄土真宗東本願寺派では、3具足のひとつでもある香炉を、透かし香炉にすることを推奨しています。

見台

見台(けんだい)は、普段はしまってある過去帳を、仏壇に置く場合に乗せる台座です。

金灯籠

金灯籠(きんとうろう)は、ご本尊のお顔や姿を明るく照らす、燭台と同じ灯供養具(とうくようぐ)のひとつです。浄土真宗東本願寺派では、真っ直ぐにのびる蝶足をした金灯籠を使用します。

瓔珞

瓔珞(ようらく)とは、魔よけの役割を果たすとされる仏具で、きらびやかな作りが特徴です。浄土真宗東本願寺派では、輪灯(りんとう)を下げた竿を瓔珞で覆うように飾りつけます。

輪灯

輪灯(りんとう)は、仏壇の中を明るくする真鍮製の仏具です。浄土真宗東本願寺派の輪灯は、飾り模様の無いシンプルなつくりになっていますが、瓔珞(ようらく)と組み合わせて装飾されます。

御文箱・和讃箱

御文箱(おふみばこ)は、蓮如上人の御文(おふみ)を納める箱として使用します。御文(おふみ)とは、蓮如上人が布教の一環として、全国の門徒に向けて手紙の形で記した法語です。

和讃箱(わさんばこ)は、親鸞聖人の『正信偈(しょうしんげ)』と『三帖和讃(さんじょうわさん)』を納める箱です。おつとめの際には和讃箱から取り出し、和讃卓(わさんじょく)と呼ばれる仏壇の前に置く机に乗せて読誦します。

経机

経机(きょうづくえ)は、仏壇の前に置く高さ30cm前後の机のことです。本来の役目は経本を読む際に使用するものですが、おりんや香炉を乗せてもかまいません。数珠やお線香などの小物をしまえる小さな引き出しが付いているタイプもありますので、仏具をまとめて収納することもできます。

導師座布団

導師座布団(どうしざぶとん)は、ご住職が法事などで読経をする時に長時間座る事を想定して作られているため、通常の座布団よりひとまわり大きく厚みもあります。また、四隅には邪気払いの意味を持つ、角房(すみふさ)がついています。

仏具の飾り方

浄土真宗大谷派でのお仏壇のまつり方はこちらのページで解説しています。

浄土真宗東本願寺派の仏壇の飾り方

お仏壇の置き方

最後に、仏壇の置き場所について、解説します。購入後の設置場所に迷っている方は、参考にしてください。

向き

仏壇を置く向きには、宗派によっておすすめしている方角はありますが、特別な決まりはありません。

浄土真宗東本願寺派は、ご本尊に阿弥陀如来をお祀りしているため、阿弥陀如来がおられる西方浄土に向かって手を合わせることが良いとされています。仏壇を西を背にして東に向けて置くことで、仏壇への礼拝が極楽浄土への礼拝にもなります。

おすすめの設置場所

仏壇を置く部屋や場所にも、特別な決まりはありません。落ち着いて故人を偲び、清々しい気持ちでお参りできる場所に置くことが大切です。

ただし、同じ部屋に神棚がある場合、仏壇と向かい合わせにはしないようにしましょう。向かい合わせにしてしまうと、神棚を拝むときには仏壇にお尻を向けることになり、仏壇を拝むときには神棚にお尻を向けることになってしまうからです。

また、仏壇が傷みやすくなってしまう直射日光も避けるようにしましょう。

まとめ

「浄土真宗東本願寺派の仏壇」について、選び方をはじめとして、仏具のそろえ方や置き方などを紹介してきました。

浄土真宗はさまざまな宗派があり、仏壇や仏具に細かい違いがありますが、全面的に従わなければいけないというわけではありません。地域によっては、その土地独特の風習などもあるので、迷ったときには、葬儀や法事でお世話になる菩提寺のご住職に相談してみることをおすすめします。

基本的な部分は本記事を参考にしつつ、住宅事情やライフスタイルに合った仏壇をお選びください。

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