- 位牌を作る時に梵字って入れる必要があるの?
- そもそも梵字って何?
- ◯◯宗ではどの梵字を選択すればいいの?
- 梵字について注意しておくことはある?
この記事では明治39年創業の老舗仏壇・仏具店が位牌の梵字に関する疑問についてわかりやすく解説しています。また毎月100本以上の位牌を制作する中での梵字を入れる割合もご紹介しています。
位牌に梵字は必要?
位牌に入れる梵字にはどんな意味があるの?
梵字は位牌を始め数珠や卒塔婆にも記されることが多く、意識して見ると意外と多くの梵字を見つけることができます。
梵字とは「梵語(サンスクリット)を表記するための文字」のことですが、歴史的に仏教徒の結びつきが深く、日本にも仏教とともに伝来しました。
梵字には1文字毎に意味があり、例えば「ア」という梵字は真言宗の本尊である「大日如来」を表します。また「キリーク」という梵字は浄土宗の本尊である「阿弥陀如来」を表します。このように位牌に用いられる梵字にはその宗派の本尊などを表しています。
位牌に梵字を入れるかどうか判断する方法
基本的にどの宗派も必ず梵字を入れなければならないという決まりはありません。実際に当店でも半数の方は梵字を入れないという選択をしています。
真言宗や浄土宗では梵字を入れる割合は多いのですが、それでもお寺によっては必要ないと言われることがあります。ではどうやって判断するのかというと下記のような方法があります。
- お寺に問い合わせてみる
- 白木位牌に梵字が入っていれば入れる
- 先祖の位牌を参考にする
一番確実なのは直接お寺に問い合わせてみる方法です。後ほど宗派毎の傾向も解説しますが、梵字を入れるか入れないかの最終的な判断は宗派毎と言うよりもお寺毎にされています。
また葬儀から四十九日までの間にお祀りする「白木位牌」に梵字が入っていたら本位牌にも記載するという判断もできます。梵字が不要だと考えているお寺は白木位牌にも梵字を記すことは無いので判断基準となります。
さらに、これまでに作ったお位牌がお仏壇に並んでいる場合、その位牌に合わせて判断すると良いでしょう。そうすることで並べたときも違和感なくお祀りすることができます。
位牌に梵字を入れる時に注意すべきこと
読み:カ 意味:地蔵菩薩 |
位牌に梵字を入れる場合、梵字の種類は宗派や種類ごとに異なるので注意が必要です。特に子供の位牌の場合「カ」という梵字を入れます。
「カ」は地蔵菩薩を表す梵字であり、童子、幼児は地蔵菩薩に守られ、そのご誓願によって救われるという意味があります。
位牌に入れる梵字の種類を宗派別に解説
天台宗
読み:ア 意味:大日如来 | |
読み:キリーク 意味:阿弥陀如来 |
天台宗では「ア」「キリーク」の梵字が用いられます。
「ア」は大日如来、「キリーク」は阿弥陀如来を表します。お寺の本尊によって異なりますので、お寺に確認したり、白木位牌、先祖の位牌を確認して判断しましょう。
真言宗
読み:ア 意味:大日如来 |
真言宗では「ア」の梵字が用いられます。「ア」は真言宗の本尊である大日如来を表す梵字です。
阿字より出て阿字に還帰するという真言密教の根本教理を表す文字であり、戒名の主が真言宗の檀信徒として、教主大日如来の教えを受け、位を受け継いだものであることを表しています。
浄土宗
読み:キリーク 意味:阿弥陀如来 |
浄土宗では「キリーク」の梵字が用いられます。「キリーク」は阿弥陀如来を表す梵字です。
浄土真宗
読み:ほうみょう 意味:法名 |
浄土真宗では梵字を用いることはありませんが、「法名」という文字を上に記すことがあります。「この下に書かれているのが法名ですよ」という”しるし”なので、入れても入れなくても意味は変わりません。
臨済宗・曹洞宗
読み:くう 意味:悟りの境地など |
臨済宗や曹洞宗などの禅宗系の宗派では戒名の上に冠字として「空」「◯(円相)」を入れることがあります。しかし割合としては少なく、ほとんどの寺院では入れる必要はないと判断されるようです。ちなみに「空」と「◯」はどちらも真理、仏性、宇宙全体など悟りの境地を表したものです。
日蓮宗
読み:みょうほう 意味:法華経 |
日蓮宗では梵字を用いることはありませんが、「妙法」という文字を上に記すことがあります。
位牌の梵字の必要性についてまとめ
この記事についてまとめます。
- 梵字は位牌に必ず入れないといけないということはない
- 梵字はその一字で本尊や教えを表す文字である
- 梵字を位牌に入れるかどうかはお寺に問い合わせるのが一番
- 白木位牌や先祖の位牌を参考にするのも良い
- 子供の位牌には「カ」の梵字を入れる
- 梵字は宗派ごとに異なるためよく確認する必要がある
位牌選びの参考になればうれしく思います。