引っ越しで住環境が変化したり、管理していた人が亡くなったり…、そんな事情があって仏壇を処分しなければいけなくなることがあります。
でも、仏壇ってタンスやベッドとは違いますよね。
仏壇はご先祖様や本尊を祀るもの。それをゴミに出すなんてちょっと抵抗がある方もいるのではないでしょうか?
「ゴミなんかに出したらバチが当たらないだろうか」そんなことを考えて悩んでしまいますよね。
そこで、この記事では創業明治39年の仏壇・仏具専門店「佛英堂」が、仏壇の正しい処分方法、仏壇処分の流れ、仏壇を処分する際の注意点について徹底解説します。
この記事を読めば祀られているご先祖様や本尊に申し訳ない思いをすることなく仏壇を処分することができます。
- 仏壇の処分に関する基礎知識について解説
- 仏壇の処分方法について解説
- 仏壇処分の流れについて解説
- 仏壇を処分する際の注意点について解説
仏壇の処分に関する基礎知識
仏壇処分の相場について
どのやり方で処分するかによって値段が異なりますが、ざっくり言うと2,000円〜80,000円程度です。
なぜそんなに幅があるかと言うと「供養をちゃんとしてくれるか」というのがポイントです。
やはり仏壇・仏具の専門店やお寺のお坊様にしっかりと供養をしてもらうとそれなりにお金がかかってきます。
仏壇の下取りは可能?
仏壇を下取りに出すことは可能なのでしょうか。結論から言うと下取りに出せる仏壇はあるにはあるのですが、多くの場合は下取りには出せないでしょう。
下取りに出せる仏壇とは骨董品や伝統工芸品として価値がある仏壇です。
価値がある仏壇とは例えば歴史的価値のある古い仏壇や、金箔を貼り付けたり美麗な彫刻を彫ったりしている高級な仏壇です。
一方で購入時の価格が数十万円程度の普通の仏壇は下取りに出すのは難しいでしょう。
普通の仏壇を使っている方は、やはり適切なやり方で処分する必要があるのです。
仏壇の処分方法
仏壇・仏具の専門店に依頼する
仏壇・仏具の専門店は言うまでもなく専門家ですから、確実に正しい方法で処分します。
仏壇・仏具の専門店に依頼するメリットはどの宗派でも対応可能なことです。前の持ち主の菩提寺や宗派がわからない場合は仏壇・仏具の専門店に依頼すると良いでしょう。
もう1つのメリットは仏壇の搬出や運搬の業者をお店のスタッフの方が手配してくれる点です。お坊様に頼んだり、粗大ごみに出す場合は自分で搬出しなければいけませんから重労働になります。
仏壇・仏具の専門店に依頼する場合の費用は20,000円から80,000円程度です。搬出から供養から引取解体まで全てお任せしていただけるので他の処分方法に比べると割高になります。
しかし「最初から最後までちゃんと正式なやり方で丁寧に仏壇を扱いたい」というお客様のご要望には120%応えることができます。
菩提寺や近くのお寺に依頼する
お寺のお坊様にお願いして供養と引取をしてもらう方法です。
なによりメリットなのは仏壇を購入したときに「魂入れ」を行ったお寺に「魂抜き(供養)」までしてもらえるということです。
魂入れというのは最初に購入した仏壇に対して魂を入れる儀式を行うことです。
魂を入れたお寺が魂を抜くところまでやるというのはご先祖様や本尊も安心できるでしょう。
ただ、お寺にお願いする方法にはデメリットがあります。それは金額が不明瞭ということです。なぜならお寺に払うのはあくまでもお布施であって、料金ではありません。お布施は自分で金額を決めなければいけません。相場は50,000円程度と言われていますが地域によっても異なります。
また搬出や運搬の業者は自分で手配しないといけません。仏壇・仏具の専門店に依頼するのに比べると手間がかかるというのが難点です。そしてお寺とは別に運搬業者にも料金を払わなくてはなりません。
解体業者に依頼する
不用品の引取業者や引越し業者に依頼する方法です。
搬出や運搬の専門業者なので丁寧に扱ってくれます。
業者に頼めばちゃんと養生をしてくれますので、床を傷つけたり、壁にぶつけたりする心配がありません。
また、電話1本で来て全部やってくれるので手間がかからず、料金体系もわかりやすいです。だいたい相場は20,000円〜70,000円のことが多いです。
デメリットは供養までしてくれる業者が少ないことです。中にはオプションで供養のサービスを行っている業者もいますが、業者は仏壇や供養の専門家ではないため、ちゃんとしたやり方で供養してるかどうかわかりません。
供養の信頼性においては仏壇専門店やお寺に比べると一歩劣ると言えるでしょう。
自治体に依頼する
タンスやベッドなどの家具と同じように普通に粗大ごみに出す方法です。
メリットは費用が抑えられることです。自治体にもよりますが、だいたい2000円程度しかかかりません。これは非常に安上がりで大きなメリットと言えます。
そのぶんデメリットも多いです。
まず、供養がされないこと。これがいちばんのデメリットです。上で述べてきたように、きちんと供養をしないと「バチが当たるんじゃないか」と心理的な葛藤が生まれ、ずっと心のなかに残ってしまいます。
また、手間もかかります。仏壇の搬出を自分でやらなくてはいけません。壁や床を傷つける恐れもありますし、女性や力の弱い方が1人でやるのは難しいでしょう。
仏壇専門店 | お寺 | 解体業者 | 粗大ごみ | |
供養 | ◯ | ◯ | △ | ✕ |
費用 | △ | △ | △ | ◯ |
手間 | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
仏壇を処分する流れ
STEP1:供養
「魂抜き」とか「お性根抜き」とも言われます。お坊様が供養の儀式をし、お経をあげて仏壇から魂を抜きます。供養をしたあとの仏壇は御霊を祀る場所からただの物に変わりますので処分することが可能になります。
STEP2:採寸
仏壇の縦、横、高さの長さを測ります。なぜなら仏壇の大きさによって処分費用が変わってくるからです。
STEP3:見積依頼
仏具店や運搬業者に電話して見積もりをしてもらいます。見積り金額の内訳をちゃんと聞いて料金に納得ができたら契約を結びましょう。このとき、引き取ってもらう予定日を決めます。
STEP4:仏具整理
仏像や位牌、遺影、掛け軸は同じく供養する必要があるので仏壇と一緒に業者に渡しましょう。それ以外のろうそくや線香などは魂入れをしてないただの物なので供養は不要です。
STEP5:引取
運搬業者がご自宅に仏壇を引き取りに来ます。運びやすいように家の中の物をある程度片付けておきましょう。
STEP6:解体・お焚き上げ
引き取った仏壇は解体専門業者に運び込まれ、仏壇職人の手で丁寧に解体され通常はお焚き上げされますが、仏壇は良質な木材を使っていることが多いので、チップなどに再利用されることもあるようです。
仏壇を処分する際の注意点
仏像・位牌の精抜・魂抜は必ず行う
上にも書きましたが、仏像や位牌、遺影、掛け軸は必ず仏壇と一緒に供養をしてもらってください。なぜならこれらの仏具にも購入時に魂入れがなされているからです。
入れたものは抜いて処分しないといけませんよね。だから魂抜き(供養)をしてもらう必要があります。
費用は事前に確認しておく
仏壇の処分はお寺や運搬業者など複数の業者に依頼する必要がある場合があります。特にお寺は料金体系が明瞭じゃないので事前に地域でのお布施の相場を調べておきましょう。
仏具店や解体業者に頼む際は事前に見積もりを取ってもらい、納得した上で契約するようにして下さい。
仏具の引取の可否について確認しておく
仏壇専門店やお寺ならば仏具を引き取らないところはないでしょう。しかし不用品回収業者は仏具を引き取ってくれない場合があります。
位牌や遺影は故人の属人性が強すぎてリサイクルできないのです。仏像や位牌、遺影などの仏具を引き取ってもらえるか、事前に確認した上で依頼しましょう。
まとめ
最後にこの記事についてまとめます。
- 仏壇を処分する相場は2,000円〜80,000円程度。
- 普通の仏壇は下取りには出せない。
- 処分の流れは、供養、採寸、見積依頼、仏具整理、引取、解体・お焚き上げの順で行う。
- 仏像や位牌もちゃんと供養すること。
- 費用は事前に確認しておくこと。
- 仏具の引取の可否については事前に確認すること。
- 処分方法ごとのメリットデメリットは以下の表の通り。
仏壇専門店 | お寺 | 解体業者 | 粗大ごみ | |
供養 | ◯ | ◯ | △ | ✕ |
費用 | △ | △ | △ | ◯ |
手間 | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
以上です。仏壇を処分する際の参考にしてくださいね。