香は遥か海を越えて
この国へたどり着いたといわれています
それは大海原を巡る
海流のなせる業と
豊かな感性を持つ
人間の想像力によって
偶然にももたらされたと言えるでしょう
「日本書紀」によると
推古三年夏(西暦595年)
淡路島に一本の香木が漂着したと記されています
これがわが国における香木の最も古い記録です
遠く南方の椰子の実も黒潮に運ばれ
この国まで流れ着きましたが
貴重な香木がやって来るなど
なんて不思議なことなんでしょうか
島人が流木のひとつと思い火にくべると
たとえようのない芳香が立ち上り
人々は驚嘆したといいます
島人たちはそれを香木「沈香」と知る由もなく畏れたことでしょう
香木は大和へと運ばれ帝に献上されました
日本史上初の女性天皇推古帝と摂政聖徳太子の時代です