小さなお仏壇の飾り方。基本パターンから略式の飾り方まで。

小さなお仏壇の飾り方。基本パターンから略式の飾り方まで。

近年、住宅環境の変化に伴い、棚の上に安置するタイプの「小さなお仏壇」を選択されるお客様が増えています。この記事では、小さなお仏壇に飾る仏具について詳しく解説させていただいています。

小さなお仏壇

お仏壇と聞いて誰もが思い浮かべる昔ながらの大きいお仏壇とは違い、小さなお仏壇は、タンスなどの家具や棚の上や押入れの上の段に安置できる、35センチから90センチくらいの大きさです。さらに小さい壁掛けタイプのお仏壇や机の上に置けるお仏壇も見かけるようになりました。

小さなお仏壇
カウンターにも置けるお仏壇

最近の住宅には仏間がなく、リビングなどの洋間にお仏壇を置かれることも多くなったので、伝統的なデザインのお仏壇から、部屋の雰囲気やインテリアになじむ洋風なデザインのお仏壇まで、種類も豊富です。

小さなお仏壇
扉のないお仏壇

小さなお仏壇は台や棚の上に置かれることが多いのですが、その際の注意点として、奥行きが十分ある所であること、お仏壇の前に正座した時にご本尊が自分の目線よりも高い位置にあるようにしていただきたいと思います。

大きなお仏壇と小さなお仏壇の違い

小さなお仏壇はコンパクトながらも、須弥壇や欄干、膳引など基本的な作りは大きなお仏壇と変わらないものが多く作られています。ただし、サイズがコンパクトであるがために大きなお仏壇に比べると、省略されている部分や簡略化されている部分も多くあります。

例えば、お仏壇内部の段の数です。大きなお仏壇には4段〜5段の棚が用意されていますが、小さなお仏壇には2段〜3段しか無いものがほとんどです。段が少なくなると飾れる仏具の数も少なくなることになりますので、必然的に大きなお仏壇よりも小さなお仏壇の方が簡略的な飾り方になります。

宗派によって変わる部分と変わらない部分

宗派によって変わる部分と変わらない部分

飾る仏具が少ないので宗派毎の差は殆どありません。基本的にはご本尊脇掛香炉、花立、火立、茶湯器。仏飯器、供物台、りん等を飾ります。

ご本尊と脇侍

大きなお仏壇と小さなお仏壇の違い

宗派によって必ず異なるのはご本尊と脇侍掛軸の種類です。代表的な宗派のご本尊と脇侍掛軸をまとめましたので参考までにご覧ください。

宗派本尊脇侍
真言宗大日如来弘法大師空海
不動明王
浄土宗舟立弥陀善導大師
円光大師法然
時宗舟立弥陀一遍上人
真教上人
浄土真宗本願寺派
(西派)
阿弥陀如来親鸞上人(十字名号)
蓮如上人(九字名号)
浄土真宗大谷派
(東派)
阿弥陀如来十字名号
九字名号
浄土真宗高田派阿弥陀如来親鸞上人
九字・十字名号
臨済宗座釈迦達磨大師
観音菩薩
臨済宗妙心寺派座釈迦無相大師
花園法皇
曹洞宗座釈迦承陽大師道元
瑩山禅師
日蓮宗大曼荼羅、宗祖鬼子母神
大黒天

仏具それぞれの意味

仏具それぞれの意味

仏具は一つ一つに役割があり、お仏壇に飾る確固たる意味があります。仏具それぞれの役割を知り、どのような意味があるのかを理解しておまつりしましょう。

仏様が好まれる5つのお供え物

お仏壇へお供えするものには5つの基本があり「五供(ごく)」と言います。その5つは香、花、灯燭、浄水、飮食です。

香りをお供えする仏具:香炉

香炉

お香はその香りが広く行き渡るところから、仏の慈悲の広大さに例えられます。またお香を焚くことによって、供えた人や周りの人たちの心身が清められると考えられています。

仏様は白檀の香りを好まれたとされており、仏教ではお香は最上のお供え物として扱われてきました。お香には様々な種類のものがありますが、日常的には実用性から線香を焚くことが多く、線香を焚くために香炉という仏具を用います。

お花をお供えする仏具:花立

花立

新鮮なお花も仏様が好まれるお供え物の一つとされています。ただし、毒々しい花や香りの強い花、棘のあるものは避けるようにしましょう。お供え用の造花もありますが、花が枯れていく様がこの世の無常を表しているため、出来るだけ生花を飾っていただきたいと思います。

お花をお供えするための仏具は花立といいます。お花を長持ちさせるために花立てには水を入れますので、水漏れの心配のない丈夫な花立てを選びましょう。真鍮製や陶器製のものが人気です。また、お花は拝む人に対して正面を向けて飾りましょう。

灯燭をお供えする仏具:火立

火立

灯明は暗黒を照らす仏の智慧の光、慈悲の光であるとされます。ローソクの光は拝む人の心や悩みも照らすと言われているので、電気製のものも増えていますが、できればローソクに火を灯していただくのがよいでしょう。

火を消す時は息で吹き消さずに、専用の道具か手で仰いで消しましょう。

浄水をお供えする仏具:茶湯器

茶湯器

浄水と書きましたが、普段飲んでいるお水やお茶、お湯をお供えしていただければ大丈夫です。ただし、浄土真宗ではお水は供えませんのでご注意ください。

茶湯器には真鍮製、陶器製、ガラス製のものなど様々な素材のものがあります。お仏壇や他の仏具のデザインに合わせてお選び下さい。

ご飯をお供えする仏具:仏飯器

仏飯器

ご飯をお供えするための仏具を仏飯器(仏器)といいます。

ご飯は炊きたてを一番にお仏壇にお供えするようにします。仏様はご飯やお茶の湯気を召し上がると言います。また、私たちが普段食べているものをお供えすることは、食べ物を通じて仏様や先祖と繋がるということでもあります。ですのでお供えしてしばらくしたら仏壇のご飯も引いてしまいましょう。引いたご飯は捨てずに食するとよろしいでしょう。

必ず揃えたいその他の仏具

位牌

位牌

ご先祖様をおまつりするための仏具です。よくテレビドラマなどでお位牌を最上段の中心に置いている映像が流れることがありますが、厳密にはこれは間違いです。

仏教ではお仏壇の中心はご本尊であって、ご本尊に極楽浄土へ導いていただくという意味で一段下の段にお位牌を安置いただくのが正式な飾り方です。

りん

りんセット

りん等の音の出る仏具は梵音具(ぼんおんぐ)と呼ばれ、お勤めの開始と終わりを知らせたり、読経の調子を取るために用いられます。また、音は邪気を払い、空間を清める力もあるとされています。

ご家庭では仏様やご先祖様にこれからお祈りすることを伝えるつもりで、お祈りの前に鳴らしていただくとよいでしょう。

お菓子や果物をお供えする供物台

供物台

お菓子や果物など季節の食材や、故人の好物をお供えするための台を供物台と言います。お供え物を置く場合には直接置くのではなく、懐紙や半紙を敷いた上に置きましょう。またご飯と同様に、お供えしたままで置いておかず、下げたのちにいただきましょう。一般的には左右に対で並べます。

おすすめは仏具セット

いかがでしたでしょうか。

仏具にはそれぞれに意味・役割があり、それを知っているか否かでは、お祈りの際の心のあり方が変わってくると思います。一つ一つの仏具の意味を知り、心をこめてお供えしましょう。

また、ご紹介した仏具を1点づつ揃えるのはとても大変です。当店がコーディネートした「仏具セット」をご紹介いたしますので参考までにご覧ください。

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