あまりにもめまぐるしく移り変わる世の中になって、人々が安らぎを求め始めるとともに、香りの持つ不思議な力が見直されています。
香りが、人間の精神と深く関わっていることがわかり始めたのです。
確かに、お香のもたらすいい香りは、気持ちをを和らげ心を安らかに清めてくれるような気がします。
それはいい音楽を聴いて気持ちをリラックスさせるのに似ていていて、「お香を聞く」といういい方からも、わかるかもしれません。
香りって何だろう…
あまり考えることもないでしょうが、いま香りがちょっとしたブームを呼んでいます。
ようやくやってきた、いや戻ってきた香りの時代。
香りとしてのお香が、私たちの何気ない普段の生活の中で生かされつつあるのです。
かけがえのない地球の緑や水など自然の大切さに気づき始めると共に、生活の中で森の緑や花の香りの効用もまた大切な要素として、目を向け始めたということもあります。
香りは初め宗教の道具として、また薬用として用いられ、次に貴族たちのたしなみや楽しみとなり、やがて今のような生活の中で潤いとして生かされるようになりました。
いま多くのストレスを抱え安らぎを求める現代人は、単なる潤いとしての香りではなく、それ以上の意味をもう一度見い出そうとしているようです。
科学の面から見る「香り」
自然の香りの持つ不思議な魅力が見直され、科学的にも解り始めています。
疲労や、軽い風邪くらいなら緑の森の中でしばらくすごすだけで治ってしまうことがあります。
森の緑や花の持つ芳香が、私たちの健康と深く結び付いているようなのです。
アロマセラピー(香料治療)は、このような自然のもたらす香りによって病気を治す治療法として今、注目されています。
ドイツで行われている森林療法や、日本での聞香による心身症の治療、ハーブを用いた精神療法などがそれに当たります。
例えば、森林浴はわが国でも20年前から注目されて、多くの自然林が解放されています。
フイトンチッドという芳香性の物質が、身体にいい影響を与え、自律神経の働きをよくしたり、精神の安定や疲労の回復を促すようです。
これらの物質の中には、草木が自らを守るために発散して周囲の微生物を殺す抗菌作用を持ったものもあります。
多くの草や花もまたそのような効用を持っていることが知られています。
アロマ療法剤としてもいま覚醒用、催眠用、食欲の増進と抑制、抗偏頭痛用などに効果のある多くの植物の存在が認められ、治療に役立てられています。
気持ちいいのが 本当は 健康 なんです!!
あの『脳内革命』の春山茂雄氏は「—香りや匂いは、ただかぐだけで脳を刺激することができるため、ダイレクトに脳内モルヒネを引き出すことができる—」と説明しています。
「香りの分子は鼻から吸収され、鼻の奥の粘膜(嗅上皮)に吸着されます。
次に、香りは粘膜にある嗅細胞で電気的刺激となり、大脳辺縁系に伝えられます。
そこで香りは判断され、心地よいと感じれぱ、β-エンドルフインなどの脳内モルヒネが分泌され、心身に好影響をもたらす」のだそうで、また、「好きな匂いをかぐことで、仕事に対する意欲や、生きる楽しみも出てきます。
つまり、生命エネルギーのようなもの(!)が湧いてくるのです。
その結果、現代医学では説明がつきにくい、慢性疲労症候群といった不可解な症状にも効果を発揮します」とさえ書かれています。
(参考文献エヴァ一1997年2月号サンマーク出版)
金メダルのインタビューで「チョー気持ちええ」と言った北島選手の脳からは大量の脳内モルヒネが分泌されたことでしょうネ。
それと同じ効果が、好きな香りをかぐだけで期待できるんだって!!