お盆は、ご先祖様をお迎えし供養する日本の大切な行事です。その際に欠かせないのが「盆提灯」。盆提灯にはどんな意味があるのか、いつからいつまで飾るのか、どうやって選べばよいのか――初めてお盆を迎える方にも、毎年のお盆をより丁寧に過ごしたい方にも役立つ情報を、この記事で網羅的にお伝えします。
創業明治39年、三重県松阪市の仏壇・仏具専門店「ぶつえいどう」が、盆提灯にまつわる疑問をひとつひとつ解説していきます。
盆提灯とは
盆提灯の意味と由来
盆提灯は、お盆にあの世から帰ってくるご先祖様が迷わないための「目印」として飾られるものです。
もともとお盆には、家の門前で「迎え火」「送り火」として火を焚く風習がありました。江戸時代になると、その火を提灯に移して飾り付けるようになり、これが盆提灯の始まりとされています。現代では各家庭の門前で火を焚くことが難しくなったため、盆提灯や行灯がその役割を引き継いでいます。
盆提灯の明かりには「ご先祖様が帰ってくるときの目印になるように」「ご先祖様の足元を照らすように」という想いが込められています。
盆提灯の種類
盆提灯には大きく分けて2つのタイプがあります。
- 吊るし型(提灯型) ── 天井や軒先から吊り下げて飾る提灯。玄関先や軒先に飾ることが多いタイプです。
- 置き型(行灯型) ── 床に置いて使うタイプ。仏壇の両脇やリビングに飾ることが多いです。
伝統的な盆提灯は和紙と竹ひごで作られ、美しい模様が描かれているのが特徴です。産地としては和紙の生産が盛んな岐阜県や福岡県が有名です。近年では新しい素材を使ったモダンなデザインのものも増えています。
どちらのタイプも「ご先祖様の目印」「おもてなしの装飾」という役割は同じですので、飾る場所やお部屋の雰囲気に合わせてお選びいただけます。
盆提灯の飾り方
基本の飾り方
盆提灯はお仏壇の近くに飾り付けるのが一般的です。数や配置に厳密な決まりはありませんので、お部屋の広さや構造に合わせて自由に飾り付けてください。一対(2つ)で左右対称に飾るのが伝統的ですが、スペースの都合で1つだけ飾っても問題ありません。
明かりには安全のため電球やLEDライトを使用するのが主流です。床置きタイプの行灯には電源コードが付属していますが、吊るすタイプには付いていないことが多いため、電池式のLEDローソクを使うと安全に明かりを灯せます。
玄関に飾る方法
盆提灯は「迎え提灯」とも呼ばれるように、玄関先に飾ってご先祖様をお迎えすることも大切な風習です。玄関に飾る場合は吊るし型の提灯を使い、住宅のタイプに合わせて以下のような方法を選びましょう。
- 天井にヒートンを取り付ける ── 玄関の天井が木製で小さな穴を空けられる場合におすすめ。一度取り付ければ翌年からもそのまま使えます。
- 天井の柱に紐を通す ── 和風建築の軒先に紐を通せる隙間がある場合に有効。木材を傷つけずに設置でき、紐の長さで高さも調整可能です。
- 門提灯スタンドを使う ── 専用スタンドを使えば、どんな玄関でもスマートに飾れます。木製・金属製、屋根付きなど種類も豊富です。
- 提灯吊り具を使う ── 本来は室内の鴨居に取り付ける器具ですが、玄関に取り付け場所があれば、スタンドより小型でお手頃です。
- 突っ張り棒を使う ── 床と天井があればどこでも設置可能。賃貸住宅でも天井を傷つけません。ホームセンターの洗濯物用スタンドでも代用できます。
玄関に飾るときの注意点
- 吊るすタイプの提灯を使う ── 玄関には吊るし型が適しています。
- 屋根のある場所に飾る ── 盆提灯は紙・布・木でできているため、雨に濡れると破損します。必ず屋根の下に飾りましょう。
- 目線より高い位置に飾る ── ご先祖様が見つけやすいよう、なるべく高い位置に掲げましょう。
お盆飾りとほおずき
お盆に「ほおずき(鬼灯)」を飾る風習があります。丸みを帯びた形と炎のようなオレンジ色が盆提灯に似ていることから、昔の人が盆提灯に見立てて飾り始めたのが由来とされています。
ほおずきの飾り方には主に2つの方法があります。
- 吊るして飾る ── 枝ごと盆棚や仏壇の近くに吊るします。
- 実をばらして飾る ── 実の部分を取り外し、高月(たかつき)などの供物台に載せて飾ります。
お墓に飾る場合は、他の仏花と一緒に束ねるとよいでしょう。飾り終えたほおずきはお焚き上げするか、可燃物として地域のルールに従い処分して問題ありません。
盆提灯はいつからいつまで飾る?
7月盆(東京盆)の場合
東京をはじめとする一部の地域では7月にお盆を迎えます。盆提灯は7月1日から10日頃までの間に飾り始めるのが一般的です。お盆の期間は7月13日(盆の入り)から16日までですが、「早くご先祖様に帰ってきてほしい」という思いから、少し前から飾る方が多いです。
特に新盆(初盆)の場合は7月初旬から飾り始める風習があります。
8月盆(旧盆)の場合
全国的に多いのは8月盆です。盆提灯は8月1日から10日頃までに飾り始めましょう。お盆の期間は8月13日から16日までとなります。
明かりを灯す時間帯
盆提灯は基本的に夜間のみ灯し、寝る前に消します。ご先祖様の目印として暗い時間帯に灯すものだからです。ただし、13日から15日のお盆期間中はご先祖様をもてなす意味で、日中も明かりを付けておくとよいでしょう。
片付けのタイミング
盆提灯はお盆が明ける17日以降に片付け始め、月末までに片付け終わるようにしましょう。
- 7月盆の場合 → 7月17日から31日の間に片付け
- 8月盆の場合 → 8月17日から31日の間に片付け
地域によっては、7月盆で8月初旬まで飾る風習があるところもあります。
盆提灯は何年飾る?
種類による違い
盆提灯を何年飾るかは、提灯の種類によって異なります。
- 白無地の盆提灯(初盆用) ── 白木地に白無地の火袋を張ったもの。新盆(初盆)の年だけ飾ります。翌年以降は使いません。
- 模様入りの盆提灯 ── 花や風景などの絵柄が入ったもの。新盆が終わった後も毎年飾ります。長年使うことを想定して丈夫に作られています。
使い回してよい盆提灯の特徴
模様の入った盆提灯は、吊るし型・置き型を問わず毎年使い回して問題ありません。お盆に帰ってくるご先祖様の目印やおもてなしとして、大切に保管して翌年以降も繰り返しお使いください。
親戚や知人から贈られた盆提灯も、模様入りであれば毎年飾るのが一般的です。
お焚き上げが必要な盆提灯
模様の入っていない白提灯は初盆専用の提灯です。初盆の年が終わったらお焚き上げ処分するのが一般的です。菩提寺にお願いするか、仏壇店にご相談ください。
盆提灯の選び方
初盆(新盆)用の盆提灯
初盆を迎える場合は、白無地の盆提灯を用意するのが伝統的です。また、親類や故人と親しかった方から絵柄入りの盆提灯を贈る風習もあります。贈り物の場合は、遅くともお盆の10日前頃には届くよう手配すると先方に喜ばれます。
吊るし型 vs 置き型の選び方
吊るし型と置き型に役割の違いはありません。まずはどこに飾るかを決め、その場所に最適な形を選びましょう。
- 玄関や軒先に飾る場合 → 吊るし型がおすすめ
- 仏壇の両脇やリビングに飾る場合 → 置き型(行灯型)がおすすめ
- 吊るす場所がない場合 → 置き型を選ぶか、門提灯スタンドや突っ張り棒を活用
家紋入り盆提灯のポイント
家紋入りの盆提灯は、家の格式を表し長く使い続けるものとして人気があります。選ぶ際のポイントをまとめます。
産地で選ぶ
盆提灯の二大産地は岐阜県と福岡県です。特に岐阜提灯は、岐阜地方産の竹で骨格を作り、特産の美濃和紙を張った純国産品。江戸時代初期から続く伝統工芸で、現代でも職人が手作りで制作しています。
紙と絹の違い
火袋(明かりが灯る部分)の素材には紙と絹があります。長く使うなら絹張りがおすすめです。紙よりも強度と耐久性に優れ、長期的に見ると経済的です。
注文時の注意
- 家紋が入れられる盆提灯は限られています。「家紋入れ専用の盆提灯」から選びましょう。
- 注文前に必ず自家の家紋の種類を正確に調べておきましょう。家紋は見た目が似ていても少しの違いで別の家紋になります。
- 家紋入り盆提灯は特注品のため、基本的に返品ができません。家紋に間違いがないよう十分ご注意ください。
素材の違い
盆提灯に使われる主な素材は以下のとおりです。
- 和紙 ── 伝統的な素材。美濃和紙が高級品として知られています。光を通すと柔らかく温かみのある明かりになります。
- 絹(シルク) ── 紙より丈夫で長持ち。高級感があり、繊細な絵柄がよく映えます。
- 竹ひご ── 火袋の骨格に使われます。提灯の形を美しく保つ重要なパーツです。
- 木製の枠・台 ── けやき、黒檀、桜など。置き型の脚部分や吊るし型の上下の輪に使われます。
盆提灯の保管方法
盆提灯は紙・布・木といった自然素材で作られているため、正しく保管しないと翌年にカビや虫食いが発生してしまいます。長く使い続けるためのポイントをご紹介します。
ベストな保管環境
盆提灯は購入時の紙箱に入れて保管するのがベストです。紙箱は通気性がよく、中のものがカビにくいという特徴があります。メーカーや小売店でも紙箱のまま長期間保管されていますので、購入時の箱は捨てずに保管用として取っておきましょう。
保管場所は湿気が少なく、直射日光の当たらない場所を選んでください。
吊り下げ型のしまい方
- 中の電気ローソクを取り外す
- 提灯を折りたたむ
- 箱と擦れて破れないよう、ビニール袋に入れる(通気性を確保するため穴を開けておくとよい)
- 房の部分は別のビニールでくるんでおくと劣化しにくい
- 電気ローソクも同じ箱に入れて紛失を防ぐ
置き型のしまい方
- 毛バタキで埃を丁寧に払う(短期間の使用でも、お盆時期は人の出入りが多く意外と埃が付着しています)
- すべてのパーツを正しく分解する(無理に力を加えると破損するため丁寧に扱う)
- 組立説明書がある場合は逆の手順で分解すると確実
- パーツごとにビニール袋に入れて保護する
- 組み立て前に箱に収まった状態の写真を撮っておくと、翌年の片付けがスムーズ
防虫香の重要性
盆提灯の火袋に使われる和紙や絹には虫がつきやすく、「翌年出したら穴が空いていた」というケースも少なくありません。
箱にしまったら、必ず防虫剤や防虫香を一緒に入れておきましょう。防虫香は白檀・桂皮・カッ香などの天然成分から作られており、人やペットへの影響が少ないのが特徴です。盆提灯の寿命を大きく延ばすことができます。
盆提灯の処分方法
お焚き上げ
昔は自宅の庭や門前でお焚き上げをしたり、菩提寺に持参して供養処分してもらうのが一般的でした。現在でもお寺でお焚き上げを受け付けているところがありますので、まずは菩提寺に相談してみるのがおすすめです。
可燃物として処分する方法
現代では野焼きが禁止されている地域も多く、お焚き上げが難しい場合もあります。その場合は、盆提灯の一部分を陶器の皿の上で焚き上げ(感謝の気持ちを込めて)、残りは地域のルールに従って分別し、可燃物として処分しても問題ありません。
白提灯(初盆用)は初盆が終わったら処分しますが、模様入りの盆提灯も古くなって傷みがひどくなった場合は同様に処分して構いません。
まとめ
盆提灯は、ご先祖様をお迎えするための大切な灯りです。この記事のポイントをおさらいします。
- 意味 ── 盆提灯はご先祖様が迷わず帰ってくるための目印。迎え火・送り火の役割を果たします。
- 種類 ── 吊るし型と置き型があり、飾る場所に応じて選びます。
- 飾り方 ── 仏壇の近くに飾るのが基本。玄関にはスタンドや突っ張り棒を活用すると便利です。
- 時期 ── 盆月の初旬から飾り始め、17日以降に片付けます。7月盆と8月盆で時期が異なります。
- 何年飾るか ── 白無地の初盆用は1回のみ。模様入りは毎年使い回します。
- 選び方 ── 家紋入りは絹張りが長持ち。岐阜提灯は伝統と品質に定評があります。
- 保管 ── 購入時の紙箱に防虫香を入れて保管。湿気と直射日光を避けましょう。
- 処分 ── お寺に相談するか、感謝の気持ちを込めて可燃物として処分できます。
お盆はご先祖様への感謝の気持ちを表す大切な行事です。盆提灯を正しく飾り、心を込めてご先祖様をお迎えしましょう。
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